おばあちゃん、ごめんね、そしてありがとう
認知症は他人事でしょうか?
いいえ、認知症は身近にあります。
あなた自身もあなたの家族も認知症になるかもしれません。
認知症になったら、具体的にどうなるの?
認知症になった祖母を例としてお伝えします。
【元々の祖母】
祖母とは一緒に暮らしていました。
私の面倒を見てくれ、私はおばあちゃんっ子でした。
活発な人で自分のことは自分でし、家のことも手伝い、喫茶店や買い物、温泉等に出掛けていました。
【認知症のきっかけ】
私が高校生の時、祖母が自宅の階段から落ち、腰を骨折して歩けなくなりました。
よく出掛けていた祖母が出掛けられなくなり、ストレスが溜まったのでしょう…
物忘れが酷くなり、家族に感情的に怒るようになりました。
私は祖母を病院に連れて行った方がいいのではないかと母に言いましたが、母は断りました。
何故だかわかりますか?
母は自分の母が認知症だと簡単には認められなかったのです。
【進んでいく認知症】
腰が治った後も祖母の認知症の症状は良くなるどころか悪くなっていきました。
同じ物を何度も買うようになりました。
徘徊して行方不明になり、警察に届け出たこともありました。
見た目も一気に老け込み、体の機能も衰えていきました。
急激に変化した祖母を私は受け入れられず、母が大変な思いをしていることを知りながら、家にいることが少なくなりました。
母は疲れから朝起きられなくなり、当時していた新聞配達の仕事が思うようにできなくなりました。
私は母を手伝わなかったことをとても後悔しました。
【私達の決断】
家族で話し合い、祖母を施設に入れることにしました。
薄情でしょうか?
いいえ、そうではありません。
自分達が生活していくためには施設に入れるのがベストな選択肢だっただけです。
施設に入れても祖母は大切な家族です!
【施設に入った後】
症状は悪くなる一方で喋らなくなっていき、表情が乏しくなっていきました。
私の結婚式が間近に迫った頃、祖母が発作を起こし、入院しました。
祖母にも車椅子で参列してもらう予定でしたが、急遽欠席となりました。
その後も祖母の症状が良くなることはなく、車椅子にも乗れなくなり、寝たきりになりました。
そして、2020年4月27日祖母は天国へと旅立ちました。
【その後考えたこと】
祖母の認知症が急激に進んだのは、脳に腫瘍があったからでした。
祖母は病院に行っていたようですが、私達には何も言っていませんでした。
知らなかったとはいえ、やはり早くから治療していれば、もっと違う道があったのではないかと思います。
また、認知症のことをもっと勉強しておけばよかったと思いました。
認知症になった側の目線で考えることができませんでした。
変わっていくことを1番受け入れられなかったのは祖母自身かもしれません。
【祖母へ伝えたいこと】
おばあちゃんと過ごした日々今でも覚えているよ。
おばあちゃんの気持ちを考えきれずにちゃんとした対応できなくて、ごめんね。
それでも私が会いに行くと笑ってくれて、嬉しかった。
おばあちゃん、本当にありがとう。